
皆さん、こんにちは。臨床心理士、公認心理師のNicoです。
Nicoの心理療法の庭へようこそ。

今日も一緒に心の健康について勉強しよう!
今日のテーマは、【精神科勤務の心理士/師が解説】国民健康保険料の減免で治療中のお金の不安を軽減しようです。通院・治療にかかるお金の不安を軽減する制度シリーズ3回目です。
適応障害やうつ病をはじめ、多くの精神疾患の治療においては、休養が重要と言われます。
しかし、そのあいだ、収入の減少や治療費の負担も生じるため、
- 「自営業だから、休業すると収入が激減して生活が苦しくなる」
- 「休養することの重要性は理解しているけれども、実際の生活のことを考えると休めない」
- 「仕事は休んでいるけれど、お金の心配をずっとしていて、気持ちが休まらない」
と感じる方も多いと思います。
うつ状態のときは特に、こうした経済的不安や焦りが、実際の経済状況以上に大きく膨らむ症状も出てきます。
こうした不安や焦りは、必要な休養を取りづらくし、回復を遅らせる大きな要因にもなってしまいます。

これに対する最も有効な手立てのひとつは、公的な支援制度を知り、利用することです。
公的な支援制度は、以下のように複数あります。
今回は、個人事業主などが病気休業により所得が大幅に減少したときに、納める国民健康保険料を軽減、または免除してもらえる国民健康保険料の減免制度について解説します。
他の制度についても、順次記事を更新していきたいと思いますので、お待ちください。
なお、健康保険加入者の場合、保険料が給料から天引きされるため、今回の減免申請は対象外です。
ただ、会社を辞めて、国民健康保険に加入する場合に備えて、減免申請制度について知っておいて損はないでしょう。

また、国民健康保険加入者で今すぐは必要ないという方も、万が一ご自身や知人が精神疾患にかかったときのセーフティーネットがあるということを知っているだけでも、安心材料になります。
というのも、ある研究によれば、日本では、生涯のあいだに、うつ病にかかる確率は7%、過去12か月でうつ病にかかった人の割合は3%と決して少なくないからです(石丸,2022)。

その場合に利用できる制度を知ることで、適切な準備をしておきましょう。
ぜひ最後まで読んでいただければと思います。
まずは国民健康保険の保険料・保険税の仕組みを知ろう
前回の記事で、公的医療保険が次の二つに分かれることを説明しました。
- 健康保険:サラリーマン、公務員、一定の条件を満たすパート、アルバイトの人が加入。
- 国民健康保険料:自営業者、年金生活者、上記に含まれない非正規雇用者などが加入。
今回は後者の国民健康保険料(自治体によっては保険税ともいいます)のしくみを知る所からはじめましょう。
というのは、国民健康保険料は、複数の項目で構成されており、病気休業による減免対象となるのは、その一部だからです。
また、そうした制度の知識を深めておくと、日々の生活を送る上での経済的安心が強くなります。

制度は、知っているからこそうまく使えるもんね。

そうだね。知は力だよ。
厚生労働省HPによると、国民健康保険料・保険税のしくみは、下の表のようになっています。


なんだか難しそうだね。

ひとつずつ一緒に見ていきましょう。
まず、応益割は、国民健康保険に加入していることで受けられる利益(医療費の軽減などの受益)に応じた保険料の割合です。
そのため、原則として、所得が多い少ないにかかわらず、同じ金額を負担します。
それでも、低所得者には、この部分を軽減する制度があります。ただ、今回の話題から逸れてしまうので、割愛します。詳しくは、各自治体のHPをご覧ください。
応益割のうち、
- 均等割は、世帯のなかで国民健康保険に加入している人数に応じて(均等に)割り振られる保険料です(世帯の人数が多ければ受けられる利益も増えるため)。
- 平等割は、世帯を単位として、全世帯に平等に割り振られる保険料です。
次に、応能割は、加入者の稼ぐ能力(負担能力)に応じた保険料の割合です。これは、高所得者ほど多くの保険料を納めることになっています。
応能割のうち、
- 所得割は、世帯のなかで国民健康保険に加入している人の前年度所得に応じて割り振られる保険料です。今回お勧めする減免申請では、この所得割部分が対象です。
- 資産割は、世帯のなかで国民健康保険に加入している人の固定資産税額に応じて割り振られる保険料です。
国民健康保険は、このような内訳で構成されており、これがあるからこそ、けがや病気で困ったときに、医療費負担が軽減されるなどの利益が受けられるわけです。

実際の賦課(保険料の割り当て)については、図表に記載があるように、
各市町村の判断によって、
- 2方式:所得割+均等割
- 3方式:所得割+均等割+平等割
- 4方式:所得割+資産割+均等割+平等割
のいずれかになります。
お住いの自治体の賦課方式がどのようになっているかは、保険料納付書と共に送られてくる「国民健康保険料決定または更正決定通知書」で見ることができます。
病気休業で所得が激減したときは保険料の減免申請をしよう
さて、国民健康保険料のうちの所得割は、前年度所得に応じて割り振られる保険料でした。
ということは、
病気によって休業すると、収入は落ち込むけれども、保険料は働いていた昨年の所得で決められているため、減少した収入では支払いと生活が苦しくなる恐れが生じます。

そこで利用したいのが、国民健康保険料の減免制度です。
厚生労働省HPには、国民健康保険料の減免制度について、次のように書かれています。
災害、その他特別の事情により国民健康保険料(税)を納めることが困難な場合、国民健康保険料(税)の減免や納付猶予を受けられる場合があります。
まずは、市町村国保の場合はお住まいの市町村(特別区を含む)の国民健康保険の窓口まで、国民健康保険組合の場合は加入されている国民健康保険組合又は各都道府県の窓口までお問い合わせください。
(厚生労働省HP国民健康保険の保険料・保険税について より)(太字はNico)
そして、この記事でお勧めするのは、「精神疾患で休業することになり、所得が大幅に減少したこと」を「その他特別の事情」として国民健康保険料の減免申請を行うことです。

自治体HPによっては、この制度の概要や減免申請の理由を詳しく書いてあるところもあります。
この場合、「国民健康保険料の減免」などの見出しのあとに
などの小見出しがあり、説明がされています。
一方で、ごく簡単にしか書かれていない自治体HPもあります。
しかし、国民健康保険料の減免制度は、厚生労働省が定めているものなので、このような自治体でも、国民健康保険料の減免制度を利用できると思われます。

実際に、住んでいる自治体のHPに「病気(精神疾患)による休業」が減免申請理由として明記されていなくても、病気休業による大幅な所得減少を証明し、保険料の減免が受けられたという事例があります。
ですので、自治体のHPに「病気休業による大幅な所得の減少」が減免申請の理由として明記されていなくても、諦めずに、申請できるかどうか自治体に問い合わせてみましょう。

減免される金額について
減免される金額は、申請する年の見込み所得が前年の所得に比べてどれくらい減ったかに基づいて算出されます。
正式な割合などは、お住いの自治体に問い合わせていただく必要があります。
一例として、大阪市では、
所得減少率=(1-令和4年中の世帯見込所得/令和3年中の世帯所得)×100(%)
として計算し、所得減少率が30%以上から所得割の減額(3割減~)が受けられ、所得減少率が100%の場合は所得割が免除になるようです(大阪市HPより)。
病気休業で所得が激減したときは減免申請の手続きをしよう
国民健康保険料の減免制度は、世帯主からの申請が必要です。
また、手続きや必要書類も、自治体によって異なります。
そのため、あくまで参考にしかなりませんが、私が関わった申請手順を記載しておきます。
次のような3つの手順をイメージしておくと、問い合わせや手続きがスムーズになると思います。

①まず、お住いの自治体のHPを確認し、担当部署に問い合わせて、「病気(精神疾患)による休業で所得が大幅に減ってしまうため、国民健康保険料の減免申請をしたい」という旨を伝え、申請にどんな書類が必要かを確認し、準備します。
②次に、役所に行き、担当部署に備え付けの「国民健康保険料減免申請書」「所得申告書」を記入します。
書類の名称・様式は自治体によって異なる可能性があります。
これらの様式は、自治体のHPからダウンロードできる場合もあります(例:名古屋市HP、大阪市HP)。
- 「国民健康保険料減免申請書」には、減免を受ける理由や経緯を書きます。
- 「所得申告書」には、申請する年の事業所得や給与所得を記入します(見込み額でよい)。
この際、月ごとの売上と経費、その差額としての所得などの記入を求められる場合がありますので、自営業の方は帳簿、給与所得がある方は源泉徴収票や給与明細などの書類のコピーを用意しておくと安心です。
③最後に、記入した「国民健康保険料減免申請書」「所得申告書」と、必要書類をあわせて提出すると、手続きは終わりです。
- 手続き後、おおむね1か月前後で減免後の国民健康保険料通知書が届きます。
- なお、申請した月の保険料は減免の反映手続きが間に合わないため、この月だけは当初の保険料を納付する必要があります。
- この納付額は、それ以降の納付額と調整されるようになっています。
- また、「復帰するつもりで見込み金額を申請したけれども、回復が遅れ、申請した時よりも収入が減ってしまった」という場合には、減少額にもよりますが、再申請が可能です。
以上のような手順で、国民健康保険料の減免申請ができます。

ただ、抑うつ感が強く、集中力や思考力が低下しているときには特に、「所得申告書」の月ごとの収入や見込み額などを計算し、記入する作業は大変です。
また、国民健康保険料の通知書が届いた直後は、窓口が非常に混雑するので、待ち時間もしんどいと感じられると思います。
そのため、窓口で記入するよりは、自宅で休憩しながら記入する方がよいかもしれません。
あるいは可能であれば、知り合いの方などに手伝ってもらうのも良いと思います。
自治体によっては、郵送での申請も認められるようなので、確認してみると良いでしょう。
まとめ 国民保険料の減免申請で所得激減に対応しよう
今回は、病気休業によって所得が激減した場合に国民健康保険料の減免を受けられる制度について、以下の内容をお伝えしました。
- 国民健康保険料は、応益割(均等割+平等割)と応能割(所得割+資産割)で構成される。
- 国民健康保険には、災害、その他特別の事情により保険料を納めることが困難な場合に、減免を受けられる制度がある。
- 「精神疾患で休業することになり、所得が大幅に減少したこと」を「その他特別の事情」として申請することで、国民健康保険料の所得割部分の減免を受けられる場合がある。
- 申請は、自治体ごとに申請に必要とされる書類(収入状況がわかるもの)を準備し、「国民健康保険料減免申請書」「所得申告書」とともに提出することで行える。
- 見込みよりも回復が遅れ、収入が少なくなった場合は、再申請も可能。
- ただ、症状が重く、一人で申請が大変なときには、自宅で休憩しながら準備する、あるいは知り合いに手伝ってもらう、郵送での申請ができるか確認してみるなどの選択肢もある。
最初の手続きが大変かもしれませんが、経済的負担が小さくなることは、安心して休養するために非常に重要です。
また、日本は、国民皆保険、国民皆年金制度を取っていますので、保険料を納めることは義務ではありますが、それは同時に、これらの制度を最大限利用する権利があるということです。

安心して公的支援制度を利用し、治療、休養に専念しましょう。

それでは、今日もありがとうございました。
- 石丸昌彦(2022)精神医学特論.放送大学大学院教材.
- 厚生労働省HP 国民健康保険の保険料・保険税について.https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21517.html.2022年10月19日閲覧.
- 神戸市HP 保険料の減免制度.https://www.city.kobe.lg.jp/a52670/kurashi/support/insurance/genmensedo.html.2022年10月19日閲覧.
- 名古屋市HP 保険料を軽減する制度.https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000007692.html.2022年10月19日閲覧.
- 大阪市HP 保険料の軽減・減免.https://www.city.osaka.lg.jp/fukushi/page/0000369751.html#55.2022年10月19日閲覧.
- 横浜市HP 保険料について.https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/kokuho/hokenryo/04hokenryounituite.html#keigengenmen.2022年10月19日閲覧.

Nico
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