一般の方向け
「Dv・虐待加害者の実体を知る あなた自身の人生を取り戻すためのガイド(明石書店)」
一般の方にも、援助職の方にも読んでいただきたい一冊です。
DV(ドメスティック・バイオレンス=配偶者からの暴力)には、身体的暴力の他に、言葉や一見些細な仕草を使って相手を支配し、コントロールする精神的暴力、金銭によって相手を苦しめる経済的暴力、同意のない性的行為を強要する性的暴力など、さまざまな形態があります。
しかし、日本では、DVに対する一般の理解も、加害者を取り締まる法律や更生プログラムの整備も非常に遅れています。
著者のバンクロフトによれば、DV加害者は一般に考えられているのとは異なり、心理的には正常(心理検査を行っても異常はほぼ見られない)で、暴力をふるっているときでも自制心を保っています。DVを行う理由は、加害者が身に着けた考え方や価値観と、相手を支配することで得られるメリットにあるとされています。
原著は2002年、翻訳は2008年に出版。少し時間は経っていますが、その内容の重要性は今も全く変わらない、むしろ、女性や子供、社会的に不利な人への暴力や人権侵害が大きな問題になっている今だからこそ、知っておきたい事柄が詰まっていると言えます。
「反省させると犯罪者になります(新潮新書)」
タイトルはちょっと「いかつい」ですが、その内容は本質に触れています。
問題を起こした人に「反省させる」ことは、再発予防にならない。それは「その人なりの理由や傷つき」を抑圧し、表面的な反省に終わってしまう。むしろ、その根本的な問題を見つめ直すことができてはじめて、問題を起こした人は、被害者の気持ちにも思い至り、そこから「反省する」ようになっていく。
我慢すること、自分ひとりで解決すること、強くあることを良しとする価値観のなかで育つうちに、助けてほしい、辛いといった自然な感情が、限界まで押さえつけられる。それが爆発すると、非行や犯罪になる。
再発防止や更生のためには、問題を起こした人が、ありのままの自分の感情や弱さをことばにしてゆく手助けが必要である。
このような内容を、筆者の体験をもとにした架空事例も示しながら具体的にを述べています。教育現場の生徒指導や、問題を起こした人の行動改善にあたっている人はもちろん、子育て中の方にもお勧めです。
学生・研究者・専門家向け
「精神疾患とその治療(放送大学教材)」
心理療法(精神療法)と薬物療法は相互補完的なものという立場で、精神疾患と治療についてコンパクトにまとめた1冊!知識の整理や、精神疾患の治療の基本を学べる。
「心理職の専門性ー公認心理師の職責(放送大学教材)」
臨床心理士と公認心理師を対比させながら、心理職の専門性や職責を論じたテキスト。
学部カリキュラムの内容だが、各自がこれまで学んできたことを生かしつつ、今後ますます必要になる他の職種や領域、理論との交流・連携に向けて、視野を広げる第一歩となるような1冊。
序盤から中盤では、
- 国家資格の資格成立過程
- 守秘やその限界についての倫理と葛藤
- 活動領域ごとの特徴と求められる役割
について解説している。
終盤では、
- 「害をなさないこと」や、援助関係のなかで生じる現象を通して自身を振り返るといった心理専門職の基本姿勢
- 経験を通しての熟達過程
- 理論と実践を行き来するなかで心理専門職の質を向上させる知の枠組み
について、精神分析的視点から、エビデンス・ベイスドな視点や、ナラティブ・ベイスドな視点に至るまで、広い観点から見渡そうとしている。
「心理尺度のつくり方」
やや辛口な記述もあるが、信頼性と妥当性の高い心理尺度をつくるうえで必要な手続きや分析について書かれた本。「分析をしてみたら結果が出なかった」とならないために読んでおくべき1冊。